三河教育研究会

会長挨拶
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誇りをもって、学び続ける三河教師

三河教育研究会 会長 柴田 昌一

 さわやかな初夏の風が感じられた5月22日、蒲郡市民会館において、多くの来賓のご臨席のもと、令和6年度三河教育研究会定期総会並びに教育講演会を盛会裏に終えることができました。心より感謝申し上げます。
 さて、私の勤務校には、60歳を迎え、教諭として勤める先輩が本年度も在籍しています。生徒たちは、先輩の授業を毎時間楽しみにしています。先輩は、それまでの経験に加え、教材研究を念入りにしています。今も教師としての誇りをもち、学び続ける先輩に頭が下がります。
 今、教育現場には、いじめや長期欠席をはじめ、様々な課題があります。私たち現場が努めるべきことは、各学校の教師の力量を向上させることではないでしょうか。そのためには、教師一人ひとりが「誇りをもって、学び続けること」が大切だと考えます。三河教育研究会は、学び続けたいという先生方を支援していきたいと思います。
 三河教育研究会には授業力養成講座があります。三河の各市町村で選ばれた授業者が、自ら指導を受けたい講師を指名し、授業づくりから授業までを参観者に公開します。昨年度は安城市と知立市、豊川市で、一昨年度は岡崎市と幸田町、田原市で行われました。幸田町立北部中学校では、2年生数学の授業が公開されました。
 この授業で生徒に与えられた課題は、折り紙で正三角形を作ることでした。授業者の山田泰介先生は、生徒に課題の説明をしたのみで、あとは生徒が50分間自分たちだけで活動し続けました。この授業は、中学校においても教師主導ではなく、教師が支援に回り、生徒が主体的に追究し、生徒相互の関わりで課題を解決する授業が可能であることを示しました。
 さらに、授業終了後の研究協議では、ファシリテーターの山本勝秀先生が話し合いの視点を三つ示し、この視点に沿って参観者がほぼすべての時間を使い、意見を述べ合いました。参観者は、講師から一方的に授業の講評を聞くのではなく、自分たちで意見を述べ合うことで、授業の見方や考え方を深める経験をしました。参観者自身が主体的に活動することの重要性を実感できたと思います。
 ところで、岡崎市では「誰一人取り残さない教育」を目指し、「心理的安全性を確保したチームでの協働的な学び」や「校内フリースクールF組・夜間学級S組」の推進に力を入れています。このように、三河の各地域には、それぞれに特徴的な学習形態や教育方法があります。
三河教育研究会では市町村教育委員会と校長会、学校の協力を得て、皆様の地元とは違った発見や学びができる研修会を実施しています。今年度の授業力養成講座は、蒲郡市、豊田市、みよし市で開催いたしますので、積極的にご参加ください。
 また、三河の子供たちのための教材「文化振興会刊行物」は、「編集は三河教育研究会、刊行は愛知教育文化振興会、事業の推進は三河小中学校長会」と三者で連携し、作成しています。編集に携わる三河教育研究会の会員は、三河各地の会員と意見を交わし、子供たちに役立つ刊行物を作ることで、教師としての自信と誇りをもってほしいと願っています。
 先日、技術・家庭科の県の組織である愛知県中学校産業教育研究協議会において、「全国大会の研究テーマと骨子を作成せよ」との依頼が三河地区にありました。それを受けて、三河教育研究会の技術・家庭科部会で相談すると、「三河教育の特色である『はじめに子供ありき』という考え方を尾張・名古屋、県外に広める良い機会としよう」という前向きな発言がありました。三河の先生方の心意気を大変頼もしく感じました。
 「三河のすべての子供に、三河の教師の手による優れた教育を保障したい」という昭和36年設立の三河教育研究会の理念を大切にし、各教科・領域の部会・委員会においても、三河の教師としての誇りをもち、自ら学び続け、19万余の三河の子供たちが健やかに成長できるように支えていきましょう。
 結びに、関係諸機関の皆様方、諸先輩方、どうぞいっそうのご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。