三河教育研究会

会長挨拶
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地域と世代を超えて学び合う場に

三河教育研究会 会長 松平 貴圭

 青葉若葉を渡る風に、夏の気配を感じる五月十八日、蒲郡市民会館において、ご来賓の皆様のご臨席のもと、令和四年度三河教育研究会定期総会・教育講演会を開催することができました。令和元年度の開催以降、ここ二年間は開催が叶いませんでした。規模を縮小しての開催となりましたが、会員の皆様に心から厚くお礼申し上げます。

 さて、三河教育研究会は、昭和三十六年、「三河の風土に根ざし、子どもを中心に据えた教育を実践する」という理念の下、発足して、昨年が六十周年でした。

 三河小中学校長会、愛知教育文化振興会との連携のもと、先輩方のたゆまぬ努力によって、確かな実績と伝統が築かれ、全国的にも珍しい大きな組織、長い歴史のある組織になっています。コロナ禍前まで、当たり前だと思っていた日常が、当たり前ではなかったこと、ありがたいことだったと気づかされました。三河各地では、授業研究での座席表や抽出児、教師の出、授業発言記録といったことが、これまで当たり前のこととして取り組まれています。他の地区には例を見ません。これも、三河すべての教員が三教研に所属し、研鑽を積んできたからこそです。これらが、単なる習慣、形骸化してしまわないよう、脈々と引き継がれてきた歴史の重さと、「はじめに子どもありき」の教育理念を大切にしながら、今の時代に合った、会員の先生方のニーズに合わせて、これからの三河の教育を考えていければと思います。若い先生方が増え、「継往開来」の言葉のように、先を見据えて新たな一歩を踏み出していくためにも、会の意義と取組を改めて確認していきたいものです。

 新型コロナウイルスの出現に、学校現場では、感染拡大防止を最優先に考え、様々な制約がある中で、工夫し、試行錯誤しながら、教育活動を進めてきました。加えて、「生きる力」を育む、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指すという、本来の役割を忘れず、教育活動を進めているところです。教育公務員特例法、あるいは教育基本法の改正では、教員は、「絶えず研究と修養に努めなければならない」とあります。研修は、私たちの責務です。研修をしなければならないので研修をしましょうなのですが、三河教育研究会は、三河全小中学校の約一万二千余の先生方が、自ら進んで研修を積む組織です。「三河のすべての子どもたちに、三河の教師による優れた教育を保証する」という、先輩方の熱き思いを次の代へとつなげる中で、さらなる充実・発展を図っていければと思います。

 部会・委員会の研修会や研究集録、授業力養成講座、文化振興会の刊行物編集といったことが三教研の柱となっています。各支部では地域の特色、各校での取組を大切にして、市町村の現職研修との連携を取りつつ、併せて支部同士の横のつながりを積極的に活用していくこと。部会・委員会では、研修会や研究集録をもとに、成果を共有し、授業力・指導力のさらなる向上を図ること。このようなことを本年度も大切にしていきたいと考えています。

 また、「授業力養成講座」は、その分野に優れた助言者から学ぶことができ、子どもたちにとって、実体験から学ぶということが欠かせないように、教師が他の市町村の授業を直に見て、学ぶことができる貴重な機会になっています。教師支援のよさ、授業展開のよさ、子どもの活動のよさ等は、その場で自分で感じ取ることが大切で、教師にとっての学びどころです。ぜひ、有効に活用していただければと思います。

 刊行物の編集につきましては、編集そのものを教員研修の機会ととらえて、取り組んできました。授業を行う教員の声を取り入れて修正を重ね、子どもたちの実態に合った教材としていけるよう、会員全員で確認したいところです。

 学校では、その行事の目的、働き方改革の中での時間のかけ方といったところで、様々な見直しを図りつつ、教育活動を進めています。三教研の諸活動についても、もう一度「目的とバランス」を振り返り、何のために、どこまでやるのかということを考える一年にしていけたらと思います。地域と世代を超えて切磋琢磨できる、会員相互が学び合う場となるように取り組んでいきましょう。