三河教育研究会

会長挨拶
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三河教育の不易の部分とは

三河教育研究会会長  水藤 彰啓

 

 三河教育研究会は、昭和三十六年五月に発足し、今年で五十八年目の活動に入ります。その間、三河小中学校長会、愛知教育文化振興会との連携のもと、多くの先輩方のたゆまぬ努力によって、確かな実績と伝統が築かれ、今日までつながれてきました。三河の全小中学校の約一万二千人の先生方が身銭を切って自ら研修に取り組もうとするこの組織は、全国的に見ても大変意義深く価値のあるものです。「三河のすべての子どもたちに、三河の教師らによる優れた教育を保証したい」という発足当時の先人の方々が、この三河教育研究会に託した三河教育にかける熱き思いを、更に次代へとつなげていかなければならないと考えております。
 さて、人工知能の発達をはじめとして、ここ数年を見ても、世の中は急速に変化してまいりました。現在の小中学生が大人になる頃には、今存在する仕事(職業)の半分近くは、AIによって行われるとも言われていますし、子どもたちの将来の夢の上位に、ユーチューバーが入っていると聞いて、大変驚きました。では、未来を担う子どもたちに、どのような力をつければよいのか。それを考える視点としての一つ目は、やはり、激動の世の中をたくましく生き抜き、未来を切り拓く、変化に対応していくという視点でしょう。しかし、それだけでは足りない、危険ではないかという心配があります。二つ目の視点としては、これまで先人たちが築き上げた「不易」の部分がなければ、薄っぺらな教育になってしまうのではないかということです。変化に合わせるだけではなく、人としての生き方を育てるという、教育の根幹の部分は、世の中が変わっても、いえ、急激に変わる世の中だからこそ、いっそう大切にしなければならないものではないでしょうか。
 蒲郡市には、苦学して教職の道を歩まれた金沢嘉一先生がいらっしゃいます。今年は金沢先生の生誕100年にあたります。先生は「子どもを人間として大事にする教育とは、持って生まれた天性を十分に伸ばして、本当に生きがいのある人生が送れるようにしてやることです。人間にくずはありません。それぞれの人間の長所を見つけ出して、それを十分に伸ばすようにしてやらなければなりません。これが親と教師に課せられた責任です。」とおっしゃっています。「流行」の部分が、目まぐるしく訪れる教育改革の波であるならば、「不易」の部分は「子どもたちのよりよい人格形成」が最も基本となるべきものです。それを指導実践する場の中心は、やはり「授業」ではないでしょうか。
 「子どもを中心に据え」「子ども先にありき」で授業を構想する三河の教育の「不易」の部分はこれからも三河教育研究会として最も大切にしなければならないものと考えます。本部事業では本年度も先生方が共に学び合うことを目的として、「授業力養成講座」を行う計画でおります。三河各地の先生方と共に「いかに授業で子どもを育てるか」を学んでいただけることを願っています。
 三河教育研究会は、今後とも、三河小中学校長会、愛知教育文化振興会との絆を深め、三河教育の充実・発展のために精一杯力を尽くす覚悟です。そして、発足当時からの諸先輩の熱き想いを、われわれ会員一同がもう一度振り返り、発足の原点である部会・委員会の更なる充実を図るために、会員の皆様お一人お一人の主体的な取組を切にお願いしたいと思います。